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フィリピンの盆栽

2019年 3月22日 - 25日


日本盆栽作家協会 小林 國雄 記
フィリピン盆栽協会のボビー会長の依頼で3月21日、成田からマニラ空港へ妻と向かった。
会場は巨大モールの中央にあるイベント広場で行われた。夕食を済ませてから300点ある盆栽の審査を私の他に台湾のデモンストレーター2名と3人で審査をする事となった。水石の審査は元BCI会長のトーマス・エリアス博士が一人で行った。展示会場が広く数が多い為に審査が終わったのは夜中の2時半を過ぎていた。


(200点を超える圧巻の陳列)




(水石は興味深い石質のものが並ぶ)

今回の大会はフィリピン盆栽協会と水石協会に池の坊フィリピン協会の協賛による催しであった。初日の午前中に開幕式挙行され午後から私のデモンストレーションが披露され、通訳には台湾の梁悦美教授がしてくださった。
梁教授ほど世界に盆栽を啓蒙した女性はいないであろう。2017年には台北の広大な敷地に盆栽美術館を設立するくらい盆栽が好きであり、盆栽界への貢献も大である。
デモンストレーションの通訳はある程度盆栽を理解した方がしてくれると助かる。今回の私の素材は真柏でした。樹の持つ個性を生かす為に正面と植付け角度を変え、会場から2名のアシスタントに手伝ってもらい約2時間で仕上げました。


(マニラ SM North EDSA での真柏改作)


(絵は国境を超える)


(台湾の梁悦美教授とフィリピン大会関係者)


(会員の結束はトップの熱意の表れ)


(生花のデモンストレーター)


(地元新聞記事への掲載)

フィリピンは今回で2度目ですが、驚ろかされるのは「バンティゲン」という黄楊のような小さな葉で野趣に富んだ幹味と豪快な樹形には圧倒される。山から採取するのではなく、海岸の岸壁から採って来るらしいが寒さにはかなり弱いそうだ。イタリアやスペインの山取りのオリーブの野趣に富んだ幹味にも似ている。その他にも日本では見たことの無い植物の盆栽が多くある。


(海岸沿いの岩場に自生するバンティゲー)

4日目の早朝5時にマニラ空港に向い、約2時間のフライトでダバオ島へと向かった。フィリピンは7200の島があり、1億の人がいて活気のある国である。こちらの会場もまた巨大モールの中にあるイベントホールで盆栽水石の展示デモンストレーションが行われた。ショッピングモールの中は何万人の人の動きがある。盆栽や水石を多くの人に啓蒙するのにはもってこいの会場である。


(ダバオ島 ショッピングモールでの雑木改作)

プロ作家の登龍門である日本盆栽作風展も15年前の30回展までは東京駅の大丸デパートの催し会場で開かれていた。作風展の会期中東京駅の乗降者数は300万人もいるのである。その数パーセントの人の中から愛好家が生まれてくるのである。今年で45回を向かえる作風展は人の少ない上野グリーンクラブでの開催となる。日本の盆栽界は海外に遅れをとる事は目に見えている。今は激変の時代である。今、行っている事がネットやスマホで世界中の人が知る事の出来る時代である。変化には変化で対応するべきである。
最後の日はダバオの市役所へ市長と大統領の娘さんを表敬訪問し、2021年にダバオで大きな盆栽大会を開催する後援のお願いに伺った。フィリピンには小さな盆栽会が沢山あり、それをロベルトボビー氏がしっかりとまとめ協会を運営している。
私は今までに30カ国を歩いて来たが、最近特に東南アジアに招かれる事が多い。アメリカの盆栽会は日本と同じで愛好家が高齢化しているようだ。


    
 
 
 
 
 
 

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